夏の怪談。ゾッとしたけれど、しんみりした話
今週のお題「ゾッとした話」ということで、今回ははてなさんのお題で記事を書いていこうかと思います。夏本番ですし、怪談話まっさかりのシーズンですしね。
最初にことわっておきますが、わたしには霊感というものは一切ありません。そんな私が20代のころに体験した、ゾッとしたけれど少ししんみりした話をさせてください。
わたしが小学生に上がる前に亡くなった祖父
わたしはそれはもう祖父に懐いており、よく祖父の膝のうえに乗って甘えたり、大好きな食パンを一緒に食べていたことを覚えています。
祖父は寡黙で、どちらかというと怖い人だったらしいのですがわたしに対してはそんなことはなく、甘やかしてくれた思い出しかありません。
そんな祖父でしたが、わたしに勉強机とランドセルを買ってくれて、もうすぐ小学生!というタイミングで亡くなってしまいました。
当時のわたしはおそらくまだ『死』という概念を理解していませんでしたが、祖父にもう会えないのだということはぼんやりと分かっていたように思います。
ある日突然
それから小学、中学、高校、大学…とさまざまなことはありましたが、総じてすさんだ生活をしていたようには思います。
思春期の悩みであったり、親への反抗期であったり。
わたしがある日部屋でひとりでゲームをしていると、急にラジカセから音楽が鳴りはじめたのです。それも、よくわからない昔の曲のようでした。
音楽は10秒ほどで止まったのですが、あまりにびっくりしたわたしはラジカセの様子を見に行きました。誰も触っていないラジカセがひとりでに鳴ったことで、当時のわたしは心臓バクバクだったのです。
ありえない
ラジカセを持ったりいろいろ触っているうちに、とんでもないことに気づきます。
電池が入っていないのです。
そもそも勝手にラジカセが鳴りはじめたことでさえおかしいというのに、電池が入っていないなんて、そんなことは絶対にありえません。
しかしそのとき、わたしはあることを思い出しました。
このラジカセは、祖父の家からもらってきたものであったこと。
はっきりとそうだとは言えないのですが、ひょっとしたら祖父が会いにきてくれたんだろうか。自分に都合のいい解釈だったとしても、わたしはなんだかしんみりとした気持ちになりました。
その後はというと
その後、そのラジカセが勝手に鳴ることはありませんでした。電池を入れて動かしたこともありましたが、そもそも壊れていたのか再生すらできませんでした。
ひょっとしたら、単純に心霊現象だったのかもしれません。でもわたしは、祖父が会いにきてくれたのではないかと、月日がたったいまでもそう思っています。